その年のクリスマス。
前日からの大寒波で、東京の街は寒さに震えていました。
私と彼女は、大学の同級生で、友達以上恋人未満という微妙なそんな時。
高校時代のブラスバンド部のクリスマス会に参加する予定の彼女に、サプライズ告白をしたかった私。
「友達に会うから、行けないかも知れない。」という彼女に、「待っているから来て。」と、地元の東京の西の果ての駅での待ち会わせを強引にとりつけたのでした。
バイトで買った、ポンコツの車をピカピカに磨き、プレゼントの赤いリボンの箱を助手席に座らせて、私は駅に向かったのでした。
駅前につく頃には、車のフロントグラスに、白く薄い雪が時おり舞い降りてきました。
約束の15分前に駅に着いた私は、改札の見える場所に車をとめ、車内で何度も告白の練習をしていました。
約束の時間を10分過ぎ、改札から流れる人の波を探すものの、彼女の姿を見つけることはできません。
30分、1時間。
やがて雪は、粉雪から、フロントグラスを覆うほどの勢いで降り注ぐほどになり、東京に大雪宣言が出されました。
4時間を過ぎ、すでにエンジンを切っている車と私の心も体も冷え切っていました。
ここまで、何度も諦めようと思いましたが。も少し、後もう少し、きっと次の電車で…。と諦めきれない私が居ました。
待ち合わせから8時間が過ぎ、すっかり街は、クリスマスの光も消えかかった頃。
暗闇の中で、そこだけ柔らかな明かりのつく改札から、彼女の姿が降り助手席に駆け寄ってきました。
「ごめんね。なかなか帰らせてもらえなくて。」そう言った彼女の凍えた手に、私は「メリークリスマス」の言葉とプレゼントを渡しました。
車のラジオからは、当時ヒットしていたクリスマスソングの洋楽が流れていたのを、昨日のように覚えています。
あれから40年。
クリスマスを、3週間後に控えた我が家では、その時の彼女と娘が、去年プレゼントしたEarfun Aur Pro3で、クリスマスソングを聴きながら、楽しそうにツリーの飾り付けをしています。
妻にたまに言われるのは、あのクリスマスで諦めず待っていた私に、妻は心を動かされたそうです。
是非今年のクリスマスには、妻に新しいEarfunをプレゼントして、今使っているEarfunを私がもらい、家族3人でクリスマスソングを楽しみたいと思います。